20代の頃はバレーボールチームを結成したり、都会の子どもたちに田舎暮らしを体験してもらう『やんちゃ留学』に取り組んだり、地域活性化のためのシンクタンクに参加するなど、さまざまな活動を行なっている登坂賢治さん。稲作農家の5代目で、「でもこの辺じゃ、まだ5代目っていう感じなんですよ(笑)」。さらに代々続く農家がたくさんあるそうで、ここに住む人たちが土地を守りながら、命の糧となる稲作の仕事を大切にして来たことが分かります。
『農事組合法人 夢里』は平成16年4月にスタート。
もともとは大豆栽培の任意団体として活動していましたが、「農家の知人が、病気によって1年間仕事ができなくなりまして。そのとき手伝いをしたことで、組織の大切さを実感したのが発足のきっかけです」。立ち上げに1〜2年の準備期間を設け、その間打ち合せと称した飲み会で「メンバー8名で58万円分も呑みました」と笑う登坂さん。
現在は稲作が9,6ヘクタール 転作が15ヘクタール。大豆と枝豆の栽培から出荷まで、そしてそばの収穫作業の委託などもやっているそうです。
▲2011年度の紅大豆オーナー制度参加者が東沢活性化センターに集合、登坂さんが今年度の活動内容を紹介
登坂さんと紅大豆とのかかわりは約5年前。平成18年に発足した『紅大豆生産研究会』からの声がけで参加するようになり、オーナー制度の運営や紅大豆を使った豆腐やお菓子などの商品化などに関わっています。紅大豆は川西町に伝わる在来種で、煮豆用に自家栽培されながら受け継がれてきた食材。「赤い豆」と呼ばれてきた豆を「紅大豆」と命名し、地域の看板娘として育てているそうです。
オーナー制度を行なっているのは、川西町の南西部に位置する東沢地区。南北に細長い集落で戸数188戸、人口730人。夢里が作成したパンフレットには「愛とやさしさに包まれた里」と書かれており、オーナーの一人が、「丘と豊かな自然に囲まれて、まるでイギリスの美しい田舎のような雰囲気」と賛美した光景が広がっています。
▲いざ種まきに出発!
▲なだらかな丘が続く東沢地区
▲「おいしい紅大豆ができますように」みんな収穫の期待いっぱいに、丁寧に種をまいていきます
登坂さんにとって東沢地区は、「山が高くなくて景観がやさしい場所。このあたりは日本一小さいと言われるハッチョウトンボの生息地で、観察もできるんです。子どもの頃よりも、大人になって改めて、昆虫や植物の存在に気が向くようになりました」。好きな季節は、冬の終わりから春にかけて。朝7時頃、山に登って景色を眺めたり、"かた雪わたり"をしたり。30代の頃から始めた写真を撮って過ごすこともあるそうです。
結婚して36年。高校の同級生だった奥様と卒業後に再会。3人の娘さんに恵まれ、現在は6人目のお孫さんが生まれたばかり。酒の席は好きですがご自身はあまり飲まず、晩酌もなし。むしろ甘党で大福が好物だとか。「うちのからは食べ過ぎないよう注意されるんですけど、この周辺はおいしいお菓子屋さんも多いんですよ(笑)都会の有名店にも全然引けを取らない味だと思います」。
▲夢里の代表として、楽しい地域農業継続をめざして活動する登坂さん
▲種まきの後は、みんなでお昼ご飯の準備です
▲川西町のお米、紅大豆や野菜を使った郷土料理を楽しみながら、参加者同士親交が深まります
日頃心がけているのは、農業も人との付き合いも楽しむこと。「紅大豆のオーナー制度では、県外から参加される方向けに、グリーンツーリズムの仲間たちが宿泊の準備もしているところです。農作業の後に食べる
昼食は最高においしいですし、地元の伝統料理部の人たちも腕をふるってくれます。知らない人同士が触れ合える機会として、どんどん活用してもらえたら嬉しいですね」
紅大豆オーナー制度とは
- 「種まき」「草とり」「草取りとえだまめの収穫」「紅大豆収穫」「紅大豆味噌つくりと米粉料理教室」と年間5回の活動があります。芋煮会や漬物講習、ダリアのアートフラワーなど、無農薬による大豆栽培の醍醐味と、川西町の特産や味覚をたっぷり楽しんでいただきます。
- 料金、詳細は『農事組合法人 夢里』までお問合せください。
- 電話:0238-48-2723(またはやまがた里の暮らし推進機構 0238-54-3006)